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2003年8月
第2回 「私の仕事」

 最近はすっかりパレストラ“番頭”という肩書きが定着したが、パレストラ開設以前の私の肩書きは“総合格闘技プランナー”であった。なんとも人に説明しにくい職種なのだが、ようするに選手やコーチ以外のことなら何でもしますよというのがコンセプトであった。
 ただ長女が小学生になって「お父さんの仕事」という作文の宿題が出た時には、説明に困った。なにしろ総合格闘技から説明するとなると、大変なことになるし…。まあ実質は何でも屋である。我ながらあきれるほど器用貧乏だと思う。
 基本的にはプランニングが中心的な仕事だ。興行やアマ大会、道場運営などのコンセプト・ワークから企画書制作、競技ルールの制作、スタッフの選定、予算案の作成、ポスターのデザイン、チケットのデザインなどなど。パレ興行のポスターや写真チケットなどは、ほぼすべて私のデザインである。(ちなみに印刷も道場のインクジェットプリンターだったりする。)さらにはパンフレットの作成。原稿執筆。時にはDTPをこなすことも。
 そしてプロ興行のマッチメイクと出場交渉。ちなみに試合のオファーは電話で行うことがほとんど。これが精神的に一番キツイ。最初に考えたマッチメイク・プラン通りになることはまず無く、張り切って考えた夢のカードは実現しないことのほうが多いぐらいだ。オファーを断られる理由は様々だが、「怪我」「(仕事などの関係で)スケジュール的に無理」「その相手とはやりたくない」というのがほとんど。驚くほどオファーを断ってくる選手は多いのだ。運が悪いと、いくら電話を掛けまくり神経をすり減らしても惨憺たるカード編成にしかならないことも。当然「プロモーター努力不足」との評価しか与えられない。
 現在も9月5日のカードに頭を悩ませ中。予告していた女子公式戦はほぼ実現不可能になってしまった。オファーを考えていたのは辻結花、ジェット・イズミ、虎島尚子の3選手。しかし辻選手はDEEPでのアンナ・ミッシェル・ダンテス戦で痛めた腕のため、マネージメント・サイドからNGが。ジェット選手からは出場OKの返事を得ていたのだが、虎島選手は当日がお泊まり保育(虎島選手は保母さんなのです。)のためNGとのこと。外国人選手案も考えていたが、ジェット選手にはキックからもオファーがあるとのことで、時間的に交渉リミットに間に合わず。残念ながら、今回の女子公式戦は諦めざるを得なそう。本当に残念だ。
 こうして紆余曲折の末にカードが決まると、契約書の作成、交通チケットやホテルの手配、当日の進行台本作成、会場への張り物の作成、音楽素材の選曲と編集とこなして大会当日を迎えるわけだ。これらのほとんどをパレストラではすべて自社制作で行っている。まさに家内制手工業といった感じだ。izakinyoが入社してからは、彼女が大活躍してくれるから随分楽になったが、それ以前はほとんど一人でこなしていたので死にそうな忙しさだった。プロ興行当日は、本部席に座って進行ディレクター。頼まれればセコンドにつくことも。
 これに加え、ほぼ毎週日曜日はアマ修斗が柔術の大会を全国各地で行っているから、アマのマッチメイク、パンフの制作、チケットやホテルの手配はルーティンワークのように週1のペースで続く。さらには子供クラスの指導や、柔術や護身術クラスの出張指導、SAMURAIの解説、ビデオの監督業(ちなみに監督作品のテロップ作成やパッケージ・デザインも行うことが多い。)、そして修斗協会の運営業務もある。
 以外に多いのがネーミングを考えてほしいというリクエストだ。団体名で言えば「パレストラ」をはじめ、「総合格闘技TOPS(Tsuchiura Original PowerS)」、「ギムナシオン札幌」、「MRC(マアチン・練習・サークル)」、「MRC-DX」、鶴巻伸洋選手率いる「ティアゲネス」などは私のネーミング。大会名では「格闘技シンポジウム」、「K-1 イリュージョン」、「ANDY'S GLOVE」、「the TOURNAMENT of J」、「バーリ・トゥード・パーセプション」、「バーリ・トゥード・ジャンクション」、「SHOOTO GIG」、「シューターズ・ドリーム」、「GI (Ground Impact)」、「PROJECT-A」などがそう。ちなみに「BJJ JAM」「COPA PARAESTRA」「全日本チーム柔術ジャンボリー」「カンペオナート・ジャポネーズ」などは中井さんの発想に私がアレンジを加えたものである。

8月1日(金) 若林太郎